株を買った後、自分が見ていないときでも自動で損切りしてくれる「逆指値」ってあるじゃん?
逆指値について勉強してみたんだけど、いまいち設定の仕方がよく理解できていないんだよね。
どういうときに、どういう値で設定をしたらいいかがあやふやで…
初心者向けに、分かりやすく教えてもらえると嬉しいなあ。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- 自動で損切り!株の「逆指値」とは何か?
- どんな時に、どのような値で入力したらいいのか?
- 最初にやりがちなミス
- 逆指値を設定したのに約定しないときの理由
運営しているYouTubeにて、ご質問が多かった「逆指値」について解説します。
逆指値は条件付きの注文になるので、ちょっと複雑です。
「教科書を読んでもわからなかった!」という方に向けて、一つずつ順番にお話ししていきますね。
なお、今回は「逆指値を使った損切り(売り)」にフォーカスした内容となっております。
逆指値がイマイチ理解できない理由
おそらく本記事に訪れた方はこのような方だと思います。
私も株を始めたばかりのころに教科書で逆指値について勉強したのですが、いざ自分で数値を設定しようと思ったときに、「どこ」を「どの」数値で設定するかがよくわかりませんでした。
自分も経験があるからこそ、どこが難しいポイントなのかが分かります。
結論、「逆指値」がよく理解できないのは…
その前段階である基本的な「成行」「指値」注文を理解できていないことにあると思います。
それらが「板に対してどのような動きをするか?」が分かっていれば、スッと理解できるでしょう。
「逆指値」は、あくまでトリガー(発動条件)にすぎませんので。
この記事を読めばばっちり理解できるように、順番に解説していきます。
あえて逆指値から説明せず基本的なことからお話ししていきますが、必ず理解が必要な部分ですので、飛ばさずじっくり読んでいってください。
【まずはここから】「成行」「指値」注文とは?
株の注文方法は様々ありますが、最も基本的なのがこれら2つ。
それぞれの注文方法にどんな違いがあるか、既にご存じかもしれませんが、あらためて確認していきましょう。私が普段使っているSBI証券の説明を引用します。
成行注文と指値注文の違いは、注文発注時に値段を指定するかどうかの違いです。
- 成行注文
値段を指定しない注文。いくらでもよいから買いたい(売りたい)といった注文方法。- 指値注文
買い、または売りの値段を指定する注文。買いの場合は上限値(●円までだったら買いたい)を、売りの場合は下限値(●円までだったら売りたい)を指定する注文方法。
要するに…
- 成行 はいくらでもいいから「今すぐ買いたい売りたい」
- 指値 は値段を設定して「○○円までなら買いたい売りたい」
ということですね。
この特徴の違いについては、既に聞いたことがある方も多いと思います。
もしかすると、もう指値も成行も実際に注文をしたことがある方もいるでしょう。
ただ、「聞いたことがある」「使ったことがある」方でも、「注文後、具体的に板に対してどんな動きをするのか?」までを理解している方は少ないのではないでしょうか。
そもそも、「板」を見て注文したことがない方も多いはずです。
少なくとも株を始めた頃の私はそうでして、「なんとなく」の理解で注文をしていました。
それゆえ、指値・成行を使い分けている“つもり”でしたが、少しずれたところ=意図しない価格で約定することも多かったです。
あるいは「今この値段で買いたい」と思って注文を出したのに、なぜかよく分からないけど全然約定しないとか。
なぜこういうことが起きるかというと、あらためて「“板”での動き」を確実に理解していなかったからです。
「逆指値がよく分からない…」という方は、おそらくこの部分の理解でつまずいていると考えます。
板での動きを考えて注文できるようになれば、「逆指値」の説明もスッと頭に入ってきます。
板とは何か?
「板」とは、売り買いの注文状況を示したものです。
上の画像でいうと中央部分がそれにあたります。
どの価格に何株の注文が入っているか、何件の注文があるか…などが分かります。
- 現在値よりも上、左側にあるのが「売り板(=売りの指値)」
- 現在値よりも下、右側にあるのが「買い板(=買いの指値)」
指値注文 板での動き
指値で「買い」注文を入れた時、どうなるかを確認します。
↑の板状況で、「100株@5170円」の注文を入れるとどうなるでしょうか。
「5170円の指値注文」=「5170円までなら買いたい!」という意味でしたよね。
現在、@5170には売り板が2200株あります。
これは逆に「5170円までなら売りたいですー!」という人が、指値で売っている株ということです。
5170円で買いたい人と売りたい人がマッチし、取引が成立し、約定します。
あなたは100株@5170円で買うことが出来ます。
例題としてもう一問。
現在値5170円の状態で、5150円で買いの指値注文を出すとどうなるか?
@5150の板に注文が乗ります。しかしすぐには約定しません。
なぜなら自分(@5150)より上に買い板があるからです。
つまり、「俺はより高く買うぜ!」って人が手前にいるからです。
これらがすべて約定していって、だんだんと株価が下がり、@5150になったところでようやく自分の注文が約定します。(※時間優先の原則あり)
成行注文 板での動き
では、成行注文だとどうなるでしょうか?
成行注文は…
という動きをします。
こちらの板の場合、現在値は5170円ですが…
- 一番安い売り板が5170円(左側の一番下の数値)
- 一番高い買い板が5162円(右側の一番上の数値)
となります。
つまり、この状況で成り行き注文を出せば、おおむね「5170円で買える」or「5162円で売れる」というわけです。
“おおむね”と表現するのは、必ずしもその値段で買えるとは限らないからですね。
ほんの手前で先に注文が入ったり、あるいは板の注文が消えたりすることもありますので、実際にいくらで約定するか具体的には分かりません。
【自動損切り】株の逆指値とは?初心者向けに分かりやすく解説
逆指値の概要
いよいよ逆指値の説明に入っていきます。
これまたSBI証券の説明を引用して、まずは概要を確認しましょう。
通常の指値注文は、売却の場合「ある価格以上になったら売」、買付の場合「ある価格以下になったら買」という注文ですが、
逆指値注文とは、売却の場合「ある価格(※)以下になったら売」、買付の場合「ある価格(※)以上になったら買」となります。
要するに逆指値とは…
という通常の注文とは逆の注文を、条件を設定することで自動的に行ってくれる注文方法です。
使い道としては、これらのような活用方法があります。
出典:SBI証券
ご存じの通り、主に「自動的に損切り」するために使われることが多いです。
逆指値の「トリガー条件」と「指値」「成行」
「自動的に」と言いましたが、これが逆指値における「トリガー条件(注文条件)」です。
自分が指定した株価(トリガー条件)になった時に、予め指定しておいた注文が執行されるわけです。だから、自分が見ていないときでも“自動”で注文ができます。
ややこしいのですが、「逆指値」といっても「指値」に限られるわけではありません。なんか、名前からそう捉えがちですよね。
逆指値にも「指値」と「成行」が指定できます。
そのトリガー条件(株価)になった時、指値or成行を発注するってだけです。
逆指値=トリガーと覚えてください。
自分が設定した値になった時に、「指値」や「成行」注文が自動的に出せる!
指値、成行がありますが、損切りの売り注文の場合は「成行」が基本です。
指値ですと、板状況によっては約定しない可能性があるからです。
確実に売り払える「成行」を設定するのがいいでしょう。
実際に設定してみる【逆指値で損切り「売り」の場合】
逆指値の成行売り
(既に株を保有している体で)現在値5170円→5160円まで下がったところで「逆指値-成行-売り」をする場合はこのようになります。
まず、逆指値を設定して注文を発注した段階では、実際に板に注文は乗りません。
株価が下がり、5160円以下(トリガー条件)になった段階で、設定していた注文が発注されます。
イメージとして、あなたがずっと画面を見ている状態で、5160円まで落ちてきたところで「売り注文ボタン」をポチッと押すのと一緒です。
それを自動でやってくれるってわけです。
今回は「成行」の売り注文に設定しましたので、おおむね5160円-5159円あたりで売られると予想できます。あらためて、約定価格は成行売り注文を出した段階で出ている一番高い買い板です。
※具体的な株価は分かりません。状況によりけりです。
逆指値の指値売り
トリガー条件@5160、売り指値@5160の場合 ※注意あり
例えば5160円以下になった時点で、5160円の指値売りをする場合はこのように設定します。
一見問題はなさそうな注文ですが、場合によっては約定しないので注意が必要です。
あらためて、イメージとして5160円まで落ちてきた時に「@5160 指値売りボタン」をポチッと押す状況を想像してみてください。
5160円の買い板が残っていれば約定しますが、そうではない場合もあります。
例えば直前で大口(大量)の〇万株という売り注文がドガンと入って、一人の注文で5161円→5158円まで一気に下がったとしますよね。
そのタイミングで「5160以下になった時点で…」という逆指値のトリガー条件が発動されるわけです。
しかしながら、現在値5158円の状況で、「5160円」の売り指値を発注したらどうなるでしょうか。
一旦5160円まで上昇すれば売りが成立(約定)しますが、そのまま戻らず下がっていってしまうと、あなたの注文は板に乗ったまま約定しません。
もしかすると、ここで頭が混乱するかもです。
「トリガー条件」と「指値注文」を別々に考えると分かりやすいですよ。
単純に、現在値5158円の板があったとして、「現在値より高い5160円の売り指値を出したらどうなるか?」を考えてみてください。
板の左上(売り板)に乗って、買ってくれる人を待つ状態になります。
その「指値」を「いつ発動するのか?」と指定するのが、逆指値のトリガー条件ってだけです。
トリガー条件@5160、売り指値@5155の場合 ※価格優先の原則
今度は、逆指値のトリガー条件よりも低い値で「指値売り」を設定した場合を考えてみます。
例として、5160円以下になった時点で、5155円の指値売りをする場合はこのように設定します。
現在値から株価が下がり、5160円以下になった時点で「5155円の売り指値」が執行されます。
これは「(絶対に)5155円で売る!」というわけではありません。
復習ですが、指値の場合は「5155円“まで”なら売る」という設定です。
「指値売り5155円」と発注した場合でも、それより高いところに買い板が残って入れば、そこで約定します。※価格優先の原則
ですので、この場合ですとおおむね5160円-5155円の間で約定することとなります。
このようにもし逆指値の“指値”で発注する場合は、トリガー条件と同値ではなくて、値幅を持たせておくといいです。
ただあらためて、逆指値を「損切りの売り」として使う場合は、“成行”が基本です。
損切りする時点で買ったときのシナリオから外れているわけなので、確実に売り払うためです。
変に指値をして、それがうまく約定せず板に残ってしまうと、「逆指値を設定したのに損切りできていなかった(それどころか損が拡大)」というリスクがあるからです。
【SBI証券】逆指値の注文設定方法
SBI証券をお使いの方であれば、私が出しているYouTube動画を参考にしてみてください。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【入門に最適!株の「逆指値」を初心者向けに分かりやすく解説】
- 「いつ注文を執行するか?」→逆指値のトリガー価格
- (トリガーが執行されたら)「どんな注文をするのか?」→成行or指値
- 逆指値を使って損切りしたいなら、成行売りが基本
- 指値売りをすると、約定しないリスクあり
- 逆指値がよく理解できない場合は、注文が板でどのように動くかを考えること
というわけで、少しでも参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!