先日、私のYouTubeチャンネルにこのような内容のご質問をいただきました。
株を始めたばかりの初心者です!
デイトレードをやるなら「信用取引」は使った方がいいですか?
現在は「現物取引」のみでトレードしています。
それは以前株のことを勉強したときに、「信用取引には大きなリスクがある」と知ったからです。怖くて使っていません…。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- デイトレードを始めるなら「信用取引」を使うべきか?
- 現物取引だけでデイトレードはできるのか?
- 信用取引が“ほぼ必須”になってくる理由
- 現物は「差金決済取引」に注意
- (多くの)各証券会社がデイトレ用の信用取引区分を用意している
→例:SBI証券の日計り信用を使えば、手数料・金利(貸株料)が無料 - 信用取引には「信用取引口座開設」「30万円以上の入金」が必要
皆さんよりちょっぴり“株の先輩”である私が解説します。
「信用取引」と聞くと「なんだか怖いもの。リスクがあるもの。」とイメージしている方も多いと思いますが、実は便利な側面もあります。
特にデイトレードをするなら信用取引は“ほぼ必須”になってくるでしょう。
その理由について分かりやすくお話していきます。
デイトレードをするなら信用取引は必須?【現物は差金決済に注意】
結論から言うと、デイトレードをするなら信用取引は「ほぼ必須」だと思います。
もちろん、現物取引だけでデイトレをできないわけではないですが、信用取引に比べて不便な点が多いからです。
私もデイトレードをする時は信用取引を使っています。
デイトレにおいて「信用取引を使うべき理由」は以下の3つ。
中でも、最も大きなメリットは「資金効率がいい(回転売買が可能)」という点です!
おそらく「デイトレ(あるいはスキャルピング)」と聞くと、同じ銘柄を何十回も何百回も取引するイメージがあると思います。
でも実はそれ、「信用取引だからできる仕組み」ということをご存じですか?
私も最初、それを知らずに現物取引だけでデイトレをしようと思ったのですが、もはやできないに等しかったです。全くデイトレの形にならなかった…(笑)
それ以降、信用取引口座を開設して取引を始めました。
実際に現物でデイトレをしようとすると自然と分かってくる内容にはなりますが、あらかじめ知っておくといいでしょう。
順に詳しく解説します。
【理由1】資金効率がいい(回転売買が可能)
あらためて「資金効率の良さ」が最大のメリットです。
- レバレッジをかけられること
- 回転売買が可能
これら2点が大きな特徴ですね。
特に「回転売買できること」は、デイトレにおいて必須の条件となってきます。
レバレッジをかけられること
信用取引について調べたことがある方なら分かると思いますが、「レバレッジ効果」を得られることが一つのメリットです。
自分の差し入れた証拠金(手持ち資金)に対して、最大で約3.3倍までの取引ができます。
手持ち資金以上に大きな金額を動かせることで、利益の幅が大きくとれるというわけです。(もちろん、損も大きくなります。)
また、手持ち資金だけでは買えなかった値嵩株(=株価が高い株。100株で200万円とか)も買えるようになります。
ただ、例えば100株だけを何度も売買してデイトレするような場合ですと、必ずしもこのような「レバレッジ効果」が出てくるわけではありません。
ですの、レバレッジをかけることに対しての詳しい説明は省きます。
次に紹介する「回転売買が可能な点」こそが、デイトレで必要不可欠になってくるポイントです。
回転売買が可能
信用取引を使うと「回転売買」が無制限に可能になります。
いわゆる“デイトレード”のイメージであろう、「同じ銘柄を何度も何度も売買する…」というが回転売買ですね。買って→売って→買って…を繰り返します。
では一方で「現物取引」の場合はと言うと…
そうなんです…!
実は現物取引で同一銘柄におけるデイトレードをしようと思っても、「差金決済取引」に引っかかってしまうため、まともに回転売買ができません。
回数をこなす「デイトレード」の形にそもそもならないのです。
だから、デイトレでは回転売買のできる信用取引を使うことが“ほぼ必須”になってきます。
差金決済(さきんけっさい)取引とは?
おそらく株を始めたばかりの方ですと、このように感じたと思います。
リスクの少ない現物でデイトレをやろうと思ってたんだけど、まともに出来ないってどういうこと?
そんなの知らなったよ。
だからみんな信用取引でやってるわけね。
「差金決済取引」というルールについて、もっと詳しく教えてほしい。
私も最初、「差金決済取引」のルールを知りませんでした。
現物取引でデイトレをやろうとした時、画面に警告文が現れたことでその言葉を知りました。
調べてみて分かったんです。
「あ、現物じゃあデイトレは不向きなんだ…」と。
差金決済取引とは何か?
私が普段使っているSBI証券の説明文を引用して紹介します。
差金決済取引は法令で禁止されております。
同日(同受渡日)の同銘柄の売買
ある銘柄をお買付後、同受渡日(同日)にその銘柄を売却されること、または保有されている有価証券をご売却後、同受渡日(同日)にその銘柄をお買付されることは可能です。しかし、同受渡日(同日)の同銘柄の同一資金による「買付⇒売却⇒買付」又は「売却⇒買付⇒売却」は、差金決済取引に該当する場合がございます(同受渡日(同日)の同銘柄の預り分と日計り分の売却についても同様に差金決済取引に該当する場合がございます)。
なお、国内株式は同受渡日(同日)の売買であっても、他銘柄への乗換売買「A買付⇒A売却⇒B買付⇒B売却⇒C買付⇒C売却・・・」は可能です。
おそらくこれを読んでスッ理解できる人はいません(笑)
難しいですよね。
一言で簡単にまとめると…
「同一銘柄を、同一資金で、一往復しかできないから注意!」
ということです。
同一資金における…
- 買→売→買× (買って売った後、再び買うことができない)
- 売→買→売×(保有株を売って、買い直した後、再び売ることができない)
これが禁じられています。
例を使ってイメージ
例えば今、自己資金が100万円あるとしましょう。
株価5000円の株Aを200株(=100万円分)買うとします。
すると、手元にあった100万円を、一度その銘柄に全て使ったことになりますよね。
そのあと、買った株Aを売却するまではOKです。
売却すると、(株価の変動は一旦考慮せず)100万円が買い付け余力として自分の元に戻ってきます。
…が、再びその「100万円」を使って、株Aを買おうと思っても買えないというわけです。
もうその100万円は、その日中に“株A”に対して一度使われたものなので、差金決済取引に引っかかります。
「同一資金(100万円)による同一銘柄(株A)の取引」になってしまうからです。
もし、もう一度株Aを買いたいと思うのであれば、新規資金を使う必要があります。
例えば手元に200万円ある場合であれば、今の取引が2回分できるというわけです。
- まずは株Aを100万円分購入→売却
- (未使用の残りの100万円を使って)再び株Aを100万円分購入→売却
でも、3回目はできません。
すでに手元の200万円を一度使ってしまっているからです。
「同一銘柄」「同一資金」がポイント
差金決済取引に値するのは、「同一銘柄」を「同一資金」で売買しようと思った時です。
例えば今の例で「株A」に対して一度資金を使ってしまった場合でも、次に「株B」を取引することは可能です。
しかし、それって面倒ですよね。大変ですよね。
特に資金が少ない場合ですと、1回(あるいは数回)取引をしただけでその銘柄が取引できなくなってしまうため、次から次へと銘柄探しをしなければなりません。
信用取引なら回転無制限
だから、売買回数の多いデイトレでは「信用取引」を使うことになるのです!
あらためて、信用取引であれば回転売買が無制限に行えます。
当日中に何度でも、同じ銘柄で取引ができるというわけ。
差金決済取引に引っかかる煩わしさがありません。
「デイトレで信用取引はほぼ必須」といった意味が分かりましたでしょうか。
レバレッジを掛ける・掛けないに関わらず、回転売買の点から信用取引を使った方が便利です。
【理由2】空売りが出来る
信用取引を利用すると、売りから取引(=空売り)をすることができます。
一方、現物取引の場合ですと、買いからの取引しかできません。
空売りができると「上昇局面」「下落局面」どちらにおいても利益を上げることができます。
普通は株価が上昇した後に売却することで利益を得られるわけですが、空売りの場合は株価が下落すると儲けが出ます。
要するに「どんな局面でも利益を出せる」ようになるんですね。
例えば、日経平均全体がガクンと下がるような日は、多くの銘柄が相場につられて下落します。
現物で「買い」しかできない状態ですと、利益を上げるチャンスが限られてしまいます。どの銘柄も下げているような日は、何を買っても負けてしまう…なんてことも。
しかし、空売りが出来ればその問題は解決します。
「下がりそうだな」と思ったときは、空売りで入れば収益機会を得られるからです。
どの銘柄も、基本的に株価は上昇・下落を繰り返しながらチャートを形成していきます。
上がり一方向、下がり一方向ではなく、細かくジグザグと動いていくものです。
「買い」しかできない場合ですと、上昇局面は取引機会がありますが、下落局面は買いのチャンスが少なくなります。次の上昇局面が来るまで待たなければなりませんよね。
時間的な損失が非常に大きいです。
「買い」と「売り」、どちらもできる信用取引であれば、いつ・どんな時からでも収益機会を得られます。
これは、買いからしか入れない現物取引にはないメリットです。
【理由3】デイトレ用取引区分「一日信用取引」を使える
多くの証券会社では、デイトレーダー向けに「一日信用取引」の区分が設けられています。
「その日中に決済」という条件で、通常の一般信用や制度信用取引に比べ、手数料や金利(貸株料)が優遇されています。
例えば、私が普段使っているSBI証券では、「日計り信用」というのがそれにあたります。
手数料、金利(貸株料)が無料で取引できるので、デイトレード時における諸費用が無料で使えるというわけです。ありがたいですよね。
もちろん、各証券会社によってプランの条件は変わってきます。
詳しくはお使いの証券会社HPで調べてみてください。
ちなみに私が知る限り、現物取引で「約定回数、約定代金に関わらず手数料が無料!」というのは聞いたことがありません。
むしろ、現物取引は信用取引に比べて手数料が高いです。
仮に現物株でデイトレをしたとしても、手数料負けしてしまっては意味がないですよね。
そんなわけで、デイトレ用の取引区分「一日信用取引」を使える点でも、信用取引を利用しないともったいないです。
信用取引には「信用口座開設」「30万円以上の入金」が必要
なるほど!
最初は現物取引でデイトレードをしようと思ってたけれど、これなら信用取引を利用した方が良さそうだね!
ところで、信用取引を始めるにはどうしたらよいのだろう?
信用取引のメリットを知ると、このように思うでしょう。
- 信用取引を始めるには、追加で「信用取引口座の開設」をする必要があります。
- また、保証金として最低でも「30万円以上の入金」が必要です。
サクッとお話ししていきます。
信用取引口座の開設
「株の口座をすでに持っているよ!」という方であっても、信用取引をするためには新たに「信用取引口座」を開設する必要があります。
手続き手順については、お使いの各証券会社のHPからお調べいただければと思います。
信用取引は証券会社からお金を借りて取引する形になりますので、口座開設時には簡単な信用調査があります。
審査が通れば、信用取引を使うことができるようになります。
保証金として最低でも30万円以上の入金が必要
信用取引を始めるためには、最低でも30万円以上の入金が必要です。
信用取引(国内株)の法定最低保証金は30万円です。
信用取引(国内株)を始めるには最低30万円の保証金現金、もしくは代用有価証券が必要となります。
例えば10万円しか入金していない状態では、建余力(=信用取引で使える額)が0円と表示され、使えませんので注意してください。
信用取引におけるリスクを理解
信用取引にはリスクもあります。何も知らずに使うのは危険です。
しっかり勉強し、リスクを理解した上で上手に使っていきましょう。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【デイトレードをするなら信用取引は必須?】
- デイトレードをするなら信用取引は「ほぼ必須」条件
- 資金効率がいい
→回転売買が可能 - 空売りが出来る
→チャンスが増える - 各証券会社のデイトレ用取引区分「一日信用取引」を使える
→売買に掛かる諸費用面で優遇 - 現物は「差金決済取引」に注意しなければならない
という内容でした!
これから株をやっていく方、デイトレードを始める方の参考になればと思います。
ご覧いただきありがとうございました!