株取引をする中で「日経225先物」という言葉をよく見るようになった。
それ以外にも「〇〇先物」は色々あるけれど、そもそも“先物”って何なの?
指数を見ていても、「日経平均先物」と「日経平均」は微妙に違う値で推移しているよね。一緒じゃないってこと?
全然理解できないから、初心者向けに教えてもらえると嬉しいなあ。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- 「先物」とは何か?
- 先物取引で利益・損失が発生する仕組み
- 限月、約定価格、転売、SQなど
「なんだか難しそう…」という理由から、これまで私は先物を深く勉強せずにいました。
しかし、もっと知識を増やそうと今回学習してみて、ある程度の理解が出来ました。
これから新しく勉強を始める方へ、分かりやすく解説をしていきます。
【初心者向け】日経先物取引の「先物」って何ですか?
「先物」といっても、何も日経平均“先物”だけではありません。
例えば商品先物には、原油や金、大豆やトウモロコシ、ゴムを対象にした先物取引もあります。
まずは日経平均先物に限らず、「先物」の概念がどういうものかを理解しましょう。
結論から言うと…
引用:松井証券
将来買う価格を現時点で固定しておくのが「先物」になります。
ただこれだけ聞いたところで、
よく分からないと思いますので、例を用いて詳しく解説します。
「先物」というと馴染みがないように聞こえますが、実は身近にも先物取引は存在します。
例えばコロナ禍において、車の納期が大幅に遅れたり、車体代金の上昇が目立ちましたよね。
「1年後に納車予定の車を、今の価格で納得し、予約購入する」これも先物取引の一つです。
現時点で将来買う価格を決めておくことで、価格変動リスクを回避しているのです。
先物とは?ストーリーで学ぶ
私は近所のスーパーで仕入れを担当しています。
以前、北海道の農家から仕入れた「キラキラ米」を、10キロあたり5000円で仕入れ、1万円で販売していました。
この「キラキラ米」がおいしいと地域で評判を呼び、売り切れるほどの人気が出ました。
しかしその時は、農家さんの在庫の関係で1000キロ分しか仕入れていなかったので、私は「もっと仕入れることが出来ていたら、売り上げも伸びたのに…」と悔しく思いました。
なにせ自分が買う頃には、他のバイヤーさんも既に大量に買っていたからです。
「来年は倍の2000キロ分仕入れられたらいいな。取られる前に、自店の分を確保出来たらな。」
と思いましたが、とはいってもお米の出来は毎年変わるだろうし、やはり実際に収穫してみないと買うことは難しいよなあ、モノがないんだから…、と悩んでいました。
そこで、ダメ元で交渉してみることに。
…快諾していただけたことで、私は去年と同じ仕入単価で、来年にお米を買う約束をしました。約束は絶対です。
【未来:パターン1】
実際に1年が過ぎ、収穫の時を迎えました。
今年は凶作だったようで、市場に出回るお米の総量が減少し、お米の値上げラッシュになっていました。
ただ、私は予め農家さんと「去年と同じ価格で買い取る約束」をしていたので、その影響を受けずに済みました。
これが先物の例です。
今の例を聞くと…
- 私が得をして
- 農家さんが損をした
という結果になりましたね。
農家さんからすれば、凶作だったために、本当はもっと高値で売れたはずだからです。
逆に私は、本来は値上げしていたであろう仕入単価を去年と同じ安い価格にすることができ、安く買い取ることが出来ました。
これがパターン1の“未来の結果”です。
もう一つのパターンを見ていきましょう。
【未来:パターン2】
実際に1年が過ぎ、収穫の時を迎えました。
今年は豊作だったようで、市場に出回るお米の総量が増加し、お米の値下げラッシュになっていました。
ただ、私は予め農家さんと「去年と同じ価格で買い取る約束」をしていたので、その価格で取引をしました。本来ならば、もう少し安い価格で仕入れできていたはずだったのに…。
でも約束は約束です。去年の時点でその価格に両者が納得して決めたのです。
今の例を聞くと…
- 私が損をして
- 農家さんが得をした
という結果になりましたね。
農家さんからすれば、豊作だったために、本当はもっと安値で買い取られていたはずだからです。
逆に私は、本来はもっと安く買えていたであろう仕入単価を「去年と同じ安い価格」で約束してしまったので、現在の市場取引価格よりも高く買い取ることになりました。
これが2つ目のパターンです。損・得を受ける人が逆になっています。
先物は、将来の価格を今決める
未来のことは誰にも分かりません。
農家さんからしても、来年が豊作になるか、凶作になるかは予測不可能でしょう。
そのような価格変動リスクを避けるために、事前に将来取引する価格を約束するのが「先物」です。
- バイヤーの私からすれば、去年と同じ価格で買えるという安心感
- 農家さんからすれば、去年と同じ価格で売れるという安心感
両者が納得した上で約束をしているのです。
「日経平均先物」というお米でイメージ
日経平均先物を使って利益や損失が出る仕組みは、今の例で説明したのと一緒です。
例えば、「日経平均先物」という名のお米があるとします。
これは3か月後に収穫できる予定で、現在「1単位1,000円」にて予約注文が可能です。
3か月後、実際のお米の取引価格が「今よりも高くなる」と予想するならば、今1000円で予約注文をしておくのが良いですよね。
例えば3か月後に1500円になっていたとしたら、500円も得をするからです。
逆に、「1000円で予約注文をしたけれど、実際は3か月後に500円になっていた」なら、500円の損をします。
日経平均先物で損益を出す仕組みも一緒。
将来今よりも上がると思うなら、今のうちにその買う約束をしておけば「得」になり、約束以上に安くなってしまったら「損」になるのです。
今のうちに価格を固定する。それが先物です。
「限月」と「約定価格」
先物では、「限月」と「約定価格」という2つの言葉があります。
例えば、収穫時期が「9月」のお米を予約しようとした場合、9月が限月の先物…「9月物」と呼びます。
さらにその1年後の9月に収穫できるお米は、「20○○年9月物」として、別の銘柄として扱われます。
そりゃそうですよね、今年の9月に収穫を迎えるお米と、来年の9月に収穫を迎えるお米では、モノが全く違うからです。
時期が変われば、先物取引される価格も変わります。
日経平均先物取引で「損益」が発生する仕組み
先ほど「日経平均先物」というお米の例を用いて、損や得をする仕組みを紹介しました。
これをもっと具体的にお話ししていきます。
バイヤーの私は、“日経平均先物”という名のお米の「B年9月物」を1単位1000円で予約していました。
B年の6月を迎えた頃のことです。あと3カ月で収穫時期を迎えるお米ですが、今年は日照不足により、凶作が予想されるとニュースで報道されました。
これを見た他のバイヤーたちが「やばい、自店も早く予約をしておかないと買えなくなってしまう!」と米農家に連絡を取る動きが見られるようになりました。
私が「日経平均先物」というお米を予約していた農家さんの予約分は完売。
しかしそれでも「欲しい、欲しい」という連絡が止まないそうです。
そんな中、あるバイヤーさんがこのような手段を取りました。
- バイヤー側:高くてもいいから、とにかく「日経平均先物」のお米が欲しい!
- 私のメリット:お米の予約分を半分あげることで、30%の利益(1単位あたり300円)が得られる。
「まあ、半分なら売ってあげてもいいかな。30%も利益を得られるならね!」
と思い、私はお米を買う権利を半分、他の人に売ることにしました。
「転売」で利益を得る
このように、日経先物取引では決済期限(限月)を迎える前に先物を売却することもできます。
これを「転売」と言います。
この転売が、先物取引で利益を出す方法の1つです。
保有したまま「SQ日」を迎え、清算し、利益を得る
もう一つ、「SQ日」を迎えて限月の決済をする方法です。
取引最終日までに反対売買(転売)を行わなかった場合は、満期日(各限月の第2金曜日等)にSQ値で自動的に決済されます
SQとは、「特別清算指数」のことです。
決定したSQ値に基づいて、最終的に決済されるようになっています。
例えば、今回の9月物を1000円で買っていたとしましょう。
最終的に、この9月物は1250円という価格が付きました。利益が出ています。
だから、「この金額を元に損益を計算しますからね!」…という金額がSQ値です。
SQ値は、指数算出日における各指数構成銘柄の始め値に基づいて算出され、大引け後に大阪取引所より発表されます。
なお、日経先物はSQ日(第二金曜日)の前日まで取引可能で、第二木曜日を“最終取引日”と呼びます。
このように、先物で利益を出す方法は2つあります。
具体的な取引方法についての解説は、また後ほど!
本記事をご覧頂き、「先物とは何か?」が理解できれば、取引を始めるための心理障壁は超えられたかなと思います。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【初心者向け!日経先物取引の「先物」って何ですか?】
- 「先物」とは、ある商品を、将来の決められた日に、取引時点で決められた価格で売買を約束する取引のこと。
- 実際の取引期限を「限月」という。(例:20〇〇年〇月物)
- 限月の違う先物は、別の銘柄として扱われる
- 限月を迎える前に、「転売」をして利益を上げることも可能
- 保有したままSQを迎え、清算し、利益を得ることもできる
というわけで、少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!