SBI証券で株取引をしているんだけど、注文をする時に「寄指」「不成」「引成」とか執行条件付き注文が選べるじゃん?
使えたら便利なのはわかるけど、イマイチどんな注文か理解できないんだよね…
株初心者の自分にも分かりやすいよう、教えてもらえると嬉しいなあ。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- 各執行条件付き注文をすると、どのような動きをするのか?
- 逆指値と組み合わせるとどうなるのか?
→結構ややこしいので - 「こんな時はコレを使う」のパターン例
こんにちは、かけるです。
先日、運営してるYouTubeチャンネルにコメントが届きました。
要約すると、「執行条件付き注文を勘違いしていた結果、意図せず持ち越してしまい、大きな損になった」という内容でした。
内容を読むと、確かに間違えやすい点だったんですね。
注意喚起を含めて、本記事にて詳しく解説していこうと思います。
▼YouTubeでも解説中▼
【SBI証券】執行条件付き注文(寄指/引指/不成/IOC指/寄成/引成/IOC成)解説
結論からいうと、各執行条件付き注文の意味は下記の通りとなります。
引用:SBI証券 執行条件付注文について
ただ、「これを読んで一発で理解出来たらこの記事なんてみねーよ!」って感じですよね(笑)
私のブログやYouTubeではSBI証券を主に扱っています。
なので、実際にSBI証券の株アプリの注文作成画面を使って、各注文方法について解説していきますね。
【重要】執行条件付き注文を行うための大前提
今から執行条件付き注文の解説をしていくわけですが、理解する上での大前提があります。
「通常の指値/成行/逆指値」はマスターしていますか?
条件付き注文はこれらの応用になります。
通常注文の動きが分かっていないと、これから説明する内容がさっぱり理解できないと思います。
「そういわれると自信ないなあ。通常注文もよく分かっていない部分がある…」と思った方は、まずは前提から勉強していきましょう!
↓こちらの動画で解説しておりますので、よければ参考にどうぞ!
まあ、一番の勉強は実際に取引を重ねることだと思います。
ではあらためまして、ここから本題です。
指値→成行の順で説明します。
※なお、説明簡略化のため一部を除き「買い」のパターンで説明しています。売りはその逆を行ってください。
寄指(よりさし)
「寄指」とは…
寄付にのみ指値注文が執行されることを条件とした注文です。
前場寄付前に発注された寄指注文は、前場の寄付にのみ有効となります(後場には引き継がれません。但し、前場が値付かずの場合は、後場に持ち越されます。また、既に前場の寄付値が決定されていた場合、当該寄指注文は失効されます)。前場終了後から後場寄付前に発注された寄指注文は、後場の寄付にのみ有効となります(既に後場の寄付値が決定されていた場合、当該寄指注文は失効されます)。
引用:SBI証券
通常の指値注文は、発注後に約定しなかった場合、板に残り続けますよね。
でも「寄指」を使えば、寄付き時点で希望の価格(指値)で約定しなかった場合にその注文は破棄されます。
「○○円までに寄り付けば買いたいけど、それ以外(希望しない価格)になったらもう諦める」という時に使うと便利です。
株アプリで注文する際は、「指値」「寄指」を設定します。
ここで入力する指値は、「寄り付きが○○円までなら買ってもいい」と思う株価を入力してください。
例えば前日終値が100円だとして、(寄前気配を見つつ判断し)「110円までの価格で寄り付けば買いたいな」と思うなら、“110円”と入力するわけです。
指値は「より安い価格で買う=待ちの姿勢」もありますが、寄指の場合は「○○円までなら買いたい=希望価格の上限を指定する」といった意味合いですね。
引指(ひけさし)
「引指」とは…
引けにのみ指値注文が執行されることを条件とした注文です。
前場引け前に発注された引指注文は、前場の引けにのみ有効となります(後場には引き継がれません)。
前場終了後から後場引け前に発注された引指注文は、後場の引けにのみ有効となります。
引用:SBI証券
寄指とは反対に、「引け(前引け/大引け)」に執行される指値注文のことです。
「終値が○○円以下だったら買いたい」というときに有効です。
株アプリで注文する際は「指値」「引指」を設定します。
あらためて、ここで入力する株価は「引け時に○○円までなら買いたいな」という上限価格です。
例えば13時時点で「まだまだ株価が下がりそうだ。現在値110円だけど、100円以下に落ちてたら買いたいな」と引指をすれば、大引け時に100円以下なら買うことができます。
出来高の少ない銘柄はザラバ引けが起こりやすいです。
※こちらハイパーSBI2の画面ですが、ザラバ引けした場合は現在値のところに「*」の記号が付きます。
逆指値-引指
引指に「逆指値」を加えることも可能です。
理解がややこしいのですが、意味としてはこんな感じ。(買いの場合)
特に勘違いしやすいのが、「逆指値が発動しなかったパターン」ですね。
コレの理解には「そもそも逆指値ってなんだっけ?」を思い出してほしいのです。
逆指値は、「自分が設定したラインに達した時に、ようやく注文が市場へ発注される」という流れです。
言い換えると、逆指値ラインに達していない状況はつまり「何も発注していない状態」なんですね。
逆指値での“引指”は、本来は逆指値ライン到達時に執行されたはずの指値を先延ばしし、引け時に行うものでした。
「執行されている指値を先延ばし」するのが引指。
なので、引指をしていても逆指値が発動しないまま引けを迎えたら、「そもそも指値が執行されてないので、引指できませーん」となり、何もアクションが起こらないわけです。
結構複雑なので注意してください。
指値-不成(ふなり)
不成とは…
寄付とザラバ中は指値の注文として受付、未約定の場合には、引けの時点において成行注文に変更して発注することを条件とした注文です。
前場引け前に発注された不成注文は、前場の寄付とザラバにおいては指値注文として有効となり、前場の引けの時点で成行注文として有効となります(後場には引き継がれません)。 前場終了後から後場引け前に発注された不成注文は、後場の寄付とザラバにおいては指値注文として有効となり、後場の引けの時点で成行注文として有効となります。
引用:SBI証券
つまり、「指値(不成)」は…
- ザラバ中に指値が刺されば普通に約定
- 指値が未約定なら、引け時点で成行に切り替わる
という注文方法です。
「できれば○○円以下(指値)で買いたいけど、もし買えなかった場合でも終値で買っておきたい」というときに有効です。
株アプリで不成の設定をするには、「指値」「不成」を選択します。
ここで指定する指値はもちろん「できれば○○円で買いたいな」という価格です。
引け(前引け/大引け)時点で指値が約定していなければ、自動的に成行に切り替わります。
逆指値-不成
不成で逆指値を設定することも可能です。「逆指値」「指値」「不成」を選択。
「逆指値の不成」こそ勘違いしやすいので、解説します。
…コレは違います。何が違うか分からない方も多いと思います。
要するにこのパターンでやりたいこととしては、
という内容なんですね。
でも、この場合の正解は「OCO注文」を使って2つの売りポイントを設定することです。
※後述します。
今のように「逆指値-指値-不成」では、上記のシナリオで売買できません。
なぜかというと、「逆指値が発動しなかったら、市場には何の注文もされていないから」です。
あらためて不成は、「発注済みの指値が刺さらなかったら、成行に変更する」という注文方法でした。
意味分かりますかね?
理解できると「アッ、そういうことか!」と腑に落ちるはずです。
※一応この理解に間違いがないか、SBI証券に問い合わせて確認しました。
つまりこの注文の本当の意味としては…
- 逆指値ラインに引っかかったら、(利食いの)売り指値が市場へ発注される
- その指値が約定すれば無事利食い成功
- その指値が約定せず引けを迎えてしまったら、“不成”によって成行で売られる
- そもそも逆指値ラインに引っかからなかったら、何も発注していないのと同義なので何も起こらず保有したままになる
という内容になっています。
おそらく、やりたい方の多いのは「逆指値-指値で利食い(損切り)ラインを決めつつ、切られなくても最終的には引けに成行で売買したい」というパターンだと思います。
これは、特殊注文である“OCO注文”を使ってやりますので、最後に詳しく解説しますね。
IOC指(IOCさし)
IOC指とは…
指定した値段かそれよりも有利な値段で、即時に一部あるいは全数量を約定させ、成立しなかった注文数量を失効させる条件付注文です。「期間指定」注文を行うことはできません。また、発注しても即時に約定しない条件の下においては、有効な注文とはなりません。
引用:SBI証券
つまり「今すぐ約定しなかった注文は即キャンセル!板に残さない!」という指値注文になります。
- 自分の買い注文によって株価が反応してしまい、今よりも不利な状況で買うはめになるというのを防ぐ
(デケェ買い注文入ってきた!これは強いぞ!先に買っちゃおう!という反応) - 板に載った(未約定になった)指値をキャンセルする手間を省く
というメリットがあります。
ただ、主に大量の注文を入れる時に使うため、小資金の個人投資家はあまり使わないかもしれません。
即時注文、即時撤退のデイトレとは相性がいいです。
スマホ株アプリでの設定は「指値」「IOC」を選択。
後は普通の指値注文と同じような感覚で発注をします。
ただ、IOCはその性質上「より安くなるのを待つために指値を入れておく」といった使い方はできません。
約定しなかった場合は即キャンセルになるため、「板に注文を入れて待つ」ということができないからです。
寄成(よりなり)
以上が「指値」の執行条件付き注文でした。
ここからは「成行」の執行条件付き注文について解説します。
なお、指値と内容が重複する場合は一部割愛いたします。
寄成とは…
寄付にのみ成行注文が執行されることを条件とした注文です。
前場寄付前に発注された寄成注文は、前場の寄付にのみ有効となります(後場には引き継がれません。但し、前場が値付かずの場合は、後場に持ち越されます。また、既に前場の寄付値が決定されていた場合、当該寄成注文は失効されます)。 前場終了後から後場寄付前に発注された寄成注文は、後場の寄付にのみ有効となります(既に後場の寄付値が決定されていた場合、当該寄成注文は失効されます)。
引用:SBI証券
“寄指”の成行バージョンです。
寄り(前場/後場)で約定しなかった場合はキャンセルされます。
【疑問】
寄付きで成行注文だったら、普通に約定するんじゃないの?
約定しない場合ってどういうこと?
というか、それだったらわざわざ“寄成”をしていしなくても、寄り前気配の段階で通常の成行注文を入れておいたら同じじゃない?
これは自分も疑問に思って調べてみたところ、しっかり意味はありました。
ただ、少額の注文なら普通に寄り前に「成行注文」でOKとのことです。
SBI証券の株アプリでは「成行」「寄成」を選択するだけです。
引成(ひけなり)
引成とは…
引けにのみ成行注文が執行されることを条件とした注文です。
前場引け前に発注された引成注文は、前場の引けにのみ有効となります(後場には引き継がれません)。
前場終了後から後場引け前に発注された引成注文は、後場の引けにのみ有効となります。
引用:SBI証券
“引指”の成行バージョンです。
通常、成行注文は発注した時点で即時約定してしまいますが、「引け」に約定タイミングを指定することができます。
例えば、その日の終値で買いたい時などに有効です。
SBI証券の株アプリでの設定は「成行」「引成」を選択します。
逆指値-引成
引成には逆指値を設定することもできます。
逆指値の引成は…
- 逆指値が発動したら、引けに成行で売買される
- 逆指値が発動しなかったら、何もアクションは起こらない
という流れになります。
IOC成(IOCなり)
IOC成とは…
注文執行時の値段で、即時に一部あるいは全数量を約定させ、成立しなかった注文数量を失効させる条件付注文です。「期間指定」注文を行うことはできません。また、発注しても即時に約定しない条件の下においては、有効な注文とはなりません。
引用:SBI証券
株アプリでは「成行」「IOC」に設定をします。
大量注文をする時に使うことが多いようなので、個人ではあまり使う機会はないかなと思います。
特殊注文と組み合わせる
説明してきた「執行条件付き注文」と合わせて「特殊注文」を組み合わせることで、シーンに応じた便利な注文を作成することができます。
ぜひ、どちらもマスターして活用しましょう!
特殊注文って何だ?
SBI証券の場合、3つの特殊注文が使えます。
自分はシーンに応じてどれも使っています。
相場を見れなくてもリスクをコントロールできるので便利です。
特に会社勤めしている方は非常に便利に使えると思います。
今回は長くなってしまうので、本記事では「特殊注文」の詳細については割愛します。
まだよくわかっていない方は、こちらの記事からご確認ください。
【詳細記事】
以下、「執行条件付き注文」「特殊注文」を理解している体で、シーンに応じた設定方法例を2つ紹介します。
【OCO注文×不成×逆指値】最低限の利益を確保(または損切り)しつつ、引けに成行で決済するパターン
現在保有している株に対して、
- 最低限の利益を確保する(あるいは損切りの)逆指値
- もし上昇したとき用に利確の売り指値
- 引けで確実に決済するための成行注文
を設定する売り注文を作ってみます。
具体的な想定シーンとしては、「日計りで買った株だから、もし逆指値に引っかからなかった場合でも引けには決済したい」みたいな感じですね。
例えばこんな感じの売り決済注文を作ります。(大引けを迎えてない状態で)
この注文を分かりやすく翻訳すると…
- 現在値3289円→3400円に上昇したら、利確用の指値が刺さって約定する。
→OCO1は発注時点で板に載っている。
- もし3200円以下になってしまったら、最低限の利益を確保するため(or損切りのため)に逆指値-指値売りが執行される。
→ここは成行が指定できません。確実に売るために、逆指値ライン以下の値(例3190円)を適当に入力しています。実質最良買気配値で約定。
- 引け時に指値/逆指値どちらにも達していなかった場合、OCO1の売り指値が不成によって「成行売り」に変化し、引けで成行売りされる。
という流れです。
指値、成行、逆指値…そして執行条件付き注文と特殊注文の全てを理解していないと、中々動きが頭に入ってこないかもしれません(笑)
【IFDOCO×寄指×不成×逆指値】
想定するシーンとしては…
- これから出勤する方が、寄付の9時前にIFDOCO注文を入れる(買い→損切りor決済までを設定)
- 買いは「寄指」を利用して、想定外の価格で買わないようにする
- 利確用の売り、損切りの売りを2つセットする
- 利確or損切りどちらも達成しなかった場合は、不成によって前引けで成売されるようにする
といった内容で注文を作っていきましょう。
つまり、買いから売りまでをリスクコントロールした上で自動化するってことです。
※↓複雑なので、設定が分かりやすいハイパーSBI2の画面で説明です。
例としてこんな感じの注文を作ってみました。
これを分かりやすく翻訳すると…
- 始値が6400円以下だった場合、寄指した買い指値が刺さり、株を買える。
→買えなかった時点で全て失効。
- もし6600円まで値上がりした場合、OCO1の利確用売り指値が刺さって見事約定。
- もし6300円以下に下がってしまった場合、逆指値が発動し、6290円で売り指値を発注する。
→その時の最良買気配で約定し、損切りが完了する。
- もし利確用の6600円ライン、損切り用の6300円ラインのどちらにも達しなかったら、前引け時点で成行売りによって決済される。
→OCO1の指値が「不成」によって成行注文に変化するため。
という流れになります。
そろそろ頭が痛くなってきましたよね(笑)
フローを自分の頭で考えなくちゃいけないので大変ですが、いずれ慣れます。
私は寄付きから相場を見れない時はIFDOCOをいれることもありますし、買った株をほったらかしたい時はOCOを使います。
特殊注文や執行条件付き注文を駆使することで、相場を見ていなくともリスクをコントロールした取引が可能になります。
ずっとスマホを見ることができない方にとっては、大きな武器になるかなと思います。
ぜひ試してみてください!
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【SBI証券 執行条件付き注文(寄指/引指/不成/IOC指/寄成/引成/IOC成)解説】
- 寄指/寄成:寄り執行される注文
- 引指/引成:引けに執行される注文
- 不成(指値):指値が未約定の場合、引けで成行注文に変化する
- IOC指/IOC成:即時約定しない分はキャンセル
…という内容でした!
少しでも参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!
【よくある勘違い(決済売りの場合)】
保有株を売る時に、逆指値-指値で最低限の利益を確保しつつ、もし逆指値が引っ掛からなかった場合は引けで成行で売りたいな!
だから、逆指値-指値(不成)で注文すればいいんだよね!